廃墟

実家から1時間くらいの所にある廃温泉宿に行ってきたんですが、かなりきつい体験をしました。
入る前に気付くべきだったんですが、入り口の割れたガラスがダンボールで補修してありました。これは住人がいるってことですよね。営業している頃に割れたのなら、お客の目に触れる場所なので新しいガラスに交換するはずですから。
そんなことを考えていれば侵入せずに帰ったんですが、入っちゃいました。
入って気付いたのは
・1本だけ蛍光灯が点いてる
・部屋に酒が散乱してる
・カセットコンロと大量のガス缶がある
電気が生きてる時点で帰るべきなんですが、とりあえず全部屋を見て回ることに・・・。
一通り中を見終わって、ちょうど3階に昇った頃に入り口の扉が閉まる音が。風で動いただけだと思ったけど、人の足音が聞こえてきました。しかも階段を昇っているようでした。
これはヤバい。とっさに隠れられる場所を探すものの廊下の真ん中にあるはずもなく、あったとしてもこちらの足音に気付かれるかもしれない。頭は動くんですが、体は動けないまま足音が近づいてくる。
運がいいことに相手は2階の部屋に入った様で、ドアが閉まる音を最後に何も聞こえなくなりました。この隙に逃げようと思い、階段をゆっくり降りていこうとしましたが、足が震えてまともに降りられません。
相手が部屋のドアを閉めた時点で警察の可能性は消えるので、廃墟に住み着いている住人としか考えられないわけで、少なくともまともに話しのできる相手ではありません。目が合った瞬間その場にある一升ビンをつかんで殴りかかってくる可能性も無きににしも非ずで。頭の中はやばいの3文字でいっぱいでした。
宿の入り口まで来ると、入った時にはなかった車が止まっていました。もしかして同業者かも、と思ったけど2階の部屋に直行するのは住人しか考えられないでしょう。常識的に考えて。
まだ気付かれていないようなので、とりあえず車のナンバーを撮って、ジェベルを止めた場所まで走ります。このときばかりは廃墟から離れた場所に止めておいたことをよかったと思いました。
ジェベルまでたどり着き、エンジンをかけようとしましたがタイミング悪く始動しません。
焦っていると、目付きのおかしい人間が近づいてきていました。しかも足の角度がおかしい。超内股でアヒルを真似て歩いている感じ。
チョークを引いたところようやくジェベルが目を覚まし、そのままフル加速させて逃げてきました。
事の顛末を書くとこんな感じなんですが、各部屋の様子からして住人は1人ではなさそうでした。
帰宅した住人が1人じゃなかったら、住人の部屋が3階だったら、と考えるとぞっとします。